第48号

中国「第15次五カ年計画」で注目した五つのポイント

AIの活用と研究開発投資の拡大、消費喚起とエネルギー政策を見てみました。私は技術投資と家計消費の変化スピードに注目しました。

ビジネス中国「第15次五カ年計画」で注目した五つのポイント

中国が示した2026〜2030年の政策方向

中国の全国人民代表大会は3月12日に第15次五カ年計画を承認し、全文は13日に公開されました。2026〜2030年の経済・社会政策の方向性を盛り込んだ、18編・62章から成る文書です。全国人民代表大会と中国人民政治協商会議を合わせて、よく「両会」と呼びます。

今回の計画は、技術自立とAI活用を拡大しながら家計消費を増やすという目標を示しています。成長率についても依然として重視しています。ただし、5年間固定の数値を示すのではなく、毎年の状況に合わせて定めるようにしています。

私は成長率目標とともに、技術投資・消費・エネルギーにどのような政策を配置したのかを見てみました。五つに分けて整理してみます。

五つの分野から見た政策方向

1. 成長率目標は毎年、状況に合わせて設定

第15次計画は、GDP成長率を「合理的な区間」で維持し、年度別目標は状況に応じて定めると明記しています。2026年の政府活動報告が示した目標は4.5〜5%です。区間目標が今回初めてというわけではありません。2016年には6.5〜7%、2019年には6〜6.5%を示したことがあります。

長期目標も残っています。計画は、2035年の1人当たりGDPを2020年の2倍に増やす目標に言及しています。年次目標に柔軟性を持たせながら、長期成長目標も併せて推進する構成です。

私はこの方式を、米中対立や人口動態の変化といった不確実性に対応する余地を残したものだと読みました。成長スピードへの関心を放棄した、あるいはこれまでリスクを認識していなかったと解釈する必要はありません。

2. AIインフラとモデル開発、実際の活用を並行推進

AIは複数の政策分野にわたって登場します。「AI+」行動を通じて、産業・教育・医療・政府運営にAIを適用するという計画です。関連項目を読むと、技術開発と現場での活用を同時に推進しようとする意図がうかがえます。

内容を三つに分けると理解しやすくなります。

  • 演算インフラ: 超大規模AI演算施設の構築を検討し、全国の演算資源1を連結して配分・調整する体制を改善します。中小企業の利用コストを下げることも目標です。
  • モデル開発: 汎用モデルと産業別モデルをともに発展させ、複数種類の情報を処理するモデルやエージェント、ロボットに適用するAI2などを研究します。
  • 現場での活用: 製造業のデジタル転換とともに、医療の補助診断、健康管理、教育などにAIを活用する方策を示しています。

AI管理制度も含まれています。アルゴリズム登録と透明性・安全性評価を整備し、AI生成物の権利帰属や開発者・運営者・利用者の責任を定める規則を検討するとしています。技術普及に必要な制度をあわせて整えようとする計画です。

3. 研究開発支出を年平均7%以上拡大

定量目標の一つは、社会全体の研究開発支出を年平均7%以上増やすことです。政府予算だけでなく、企業などの支出を含めた目標です。国家統計局によると、2025年の中国の研究開発支出は約3兆9,262億人民元で、GDPの2.80%でした。

支出が毎年増えても、GDPに対する比率は経済規模がどれだけ拡大するかによって変わります。したがって、7%増という目標だけで2030年の比率が3.2%になると断定することはできません。

集中的に開発する分野としては、半導体、工作機械、高級計測機器、基礎ソフトウェア、先端素材、バイオ製造などを明示しています。技術課題を公開し、解決するチームを募集する「揭榜挂帅」制度3や、成果に応じた支援も活用するとしています。研究成果を実際の製品に適用する過程まで支援しようとする構成です。

4. 不足する需要を増やすための消費政策

計画書は、国内経済の問題として有効需要の不足と、供給に対して弱い需要を指摘しています。不動産と地方政府債務、中小金融機関のリスクを解消する課題も重いと診断しています。

消費喚起策には、養老・保育・健康などサービス消費の拡大と都市別の住宅政策、自動車消費制度の改善が含まれています。有給休暇の実質的な取得と、時期を分散させた休暇を奨励し、小中高生の春・秋休みの導入も検討しています。消費できる時間や条件までも政策の対象にしたということです。

日本総合研究所は2025年11月の分析で、製造業の競争力強化に比べて消費拡大のための改革が十分かどうか疑問を提起しました。仁川研究院が紹介したこの分析の対象は、2025年10月の計画草案段階のものでした。今回の最終文書には、消費喚起を扱った独立した章と、所得・雇用・社会保障対策があります。私は、これらの措置が家計の消費余力をどれだけ増やせるのか、引き続き確認する必要があると考えています。

5. 炭素排出削減とエネルギー供給能力の拡大

計画の目標は、GDP単位当たりの二酸化炭素排出量を5年間で17%削減し、エネルギー総合生産能力を標準炭換算で58億トンに拡大することです。58億トンは、複数のエネルギー源を同じ単位に換算した数値であり、石炭をそれだけ生産するという意味ではありません。

非化石エネルギーの10年間の供給拡大計画と、風力・太陽光・水力・原子力の開発も含まれています。同時に、石炭発電の効率改善と電力網・貯蔵設備の拡充を推進します。エネルギー供給の安定性を確保しながら、炭素集約度を下げようとする構成です。

管理基準も、炭素排出総量とGDP対比の排出強度を併せて扱う方式に変えようとしています。炭素フットプリントやラベリングなど測定・認証制度を整備する内容も盛り込まれています。排出強度17%減は排出総量が17%減るという意味とは異なるため、二つの指標を別々に見る必要があります。