サカナAIの自己改善研究とモデル結合技術「Fugu」
サカナAIとRecursiveが推進する自己改善研究や、複数モデルを結合する「Fugu」を取り上げ、研究成果と未検証の目標を整理します。
ビジネス自己改善AIに集まる投資と研究
今年5月、Recursive Superintelligenceが6億5,000万ドル、ウォン換算で約9,000億ウォンの資金調達を発表しました。企業価値は46億5,000万ドルと評価され、GVとGreycroftが投資を主導しました。NVIDIAとAMDも参加しました。共同創業者の中には、サカナAIと自己改善研究を共同で行っていたUBCのジェフ・クルーン(Jeff Clune)氏がいます。
サカナAIも東京に自己改善研究の専任組織であるRSI Lab1を設立しました。両社は研究者の協業実績と関心分野でつながってはいるものの、1つの会社が2つに枝分かれした関係ではありません。いずれもAIに研究開発プロセスを改善させる技術へ投資しています。
私が遅い時間にこのメールを書くことになったきっかけは、サカナAIのFuguリリースでした。自己改善という長期目標と、複数のAIモデルを組み合わせて使う製品がどうつながっているのかを確かめてみたかったのです。ただし、両社の成果を同一の試験で比較した結果が出ているわけではありません。
2社がアプローチする自己改善研究
AIがより優れたAIを設計するというアイデアには長い歴史があります。I. J. Goodは1960年代、人間を超える機械が後続の機械を設計すれば知能の向上が加速しうると論じました。今日のRSI研究は、そうした可能性を実際のモデルやエージェントで検証しています。2026年4月のICLRでも関連ワークショップが設けられています。
ここでいう「自己改善」には複数の水準が含まれます。エージェントが使用するツールやコードを改修すること、モデルの学習方法を見つけ出すこと、その結果として研究能力そのものが継続的に向上することは、区別して捉える必要があります。
Recursiveはリチャード・ソーチャーをはじめとする複数のAI研究組織出身者によって設立された企業で、ロンドンとサンフランシスコに拠点を置いています。5月の発足報道時点では30人未満のチームでした。同社は大規模な演算リソースとオープンエンドな探索アルゴリズムによってAI研究を自動化すると発表しました。
**6月11日には実際の初期研究結果も公開しました。**限られた予算内での言語モデルの学習、学習速度、GPUカーネルの最適化という3つの課題で改善を報告しています。ただし、この結果も際限なく性能が向上し続ける自己改善システムを実証したわけではありません。
Sakana AIは2023年に東京で設立されました。CTOのライオン・ジョーンズ(Llion Jones)は、トランスフォーマーを提案した論文『Attention Is All You Need』の共著者です。Sakana AIは複数モデルの協調や進化的探索、少ない試行回数で改善案を見つけ出す手法を強調してきました。
2社の違いを「資本を投じる側」と「アイデアを活かす側」に二分してしまうのは、あまりにも単純化しすぎです。Sakana AIも多数のモデル呼び出しと演算を活用していますし、Recursiveも探索手法を研究しています。比較すべきは、どの課題において、どれほどのコストで、どの程度改善できたかなのです。
両組織の研究の歩みを結ぶ事例がDarwin Gödel Machine2です。Sakana AIとジェフ・クルーン(Jeff Clune)のUBC研究室が2025年に共同で開発しました。エージェントが自らのツールや作業手順を記述したコードを修正し、テストする方式です。SWE-benchにおける性能は20%から50%へと向上しました。基盤モデルの重みを自ら再学習させた結果とは区別して考える必要があります。