AIで12問解いた後、自力では諦める頻度が高まった
MIT、ウォートン、カーネギーメロンなどの最新研究が捉えた、AI利用後の持続性・創造性・批判的思考の変化と、サンプル規模や研究期間の限界を併せて整理しました。
社会AIで12問解いた後、自力で解く3問ではより頻繁に諦めた
ソクラテスは文字の普及を心配しました。文字として書き留めるようになれば、人々はもはや努力して記憶しようとしなくなるだろう、と。電信が登場したときには詩の時代が終わるという予言が飛び交い、計算機が普及すると暗算能力が失われると懸念されました。そしてGoogleが登場した際にも、まったく同じ不安が繰り返されました。
いつの時代も同じでした。新たなツールが登場するたびに「このままでは私たちの脳が壊れてしまう」という心配が繰り返され、概ねそのような破局は訪れませんでした。そのため、昨今耳にする「AIが人類を愚かにする」という言説も、聞き飽きたレパートリーの繰り返しのように思えます。
しかし、最近発表された複数の研究を丹念に読み解いていくと、今回はこれまでとは少し様相が異なるという印象を拭い去れませんでした。生成AIは情報の検索や計算にとどまらず、アイデアの提案や文章の構成まで肩代わりしてくれます。初期の諸研究は、こうした支援を受けた直後に自力で取り組む課題において、困難が生じ得ることを示唆しています。
🧩 Googleと計算機の時代にはどのような議論があったのか
2011年、コロンビア大学の研究チームが興味深い実験を行いました。被験者にある情報を提示しながら「これは後でコンピュータから再度検索できる」と伝えると、情報そのものよりも「どこで検索できるか」という場所のほうをよく記憶していたのです。研究チームはこれを「Google効果(Google Effect)」と名づけました。情報そのものではなく、再検索する方法を覚えたわけです。
当時も懸念と反論が激しく対立しました。一方では「Googleが私たちを愚かにする」と主張され(2008年の『The Atlantic』誌による有名なカバーストーリーでした)、他方では「図書館で資料をめくっていた時間を節約し、より深い思考に充てられる」と反論されました。計算機も同様です。暗算能力は衰えたかもしれませんが、私たちは計算機のおかげで、より複雑な数学的課題を扱えるようになったからです。
そのため、AIを計算機に例える人は少なくありません。サム・アルトマンもその一人です。しかし、この比喩に真っ向から異を唱える研究者がいます。AIと認知能力に関して最も多く引用されている研究を発表した、MITのナタリヤ・コスミナ(Nataliya Kosmyna)です。「計算機を抱きしめて眠りにつき、朝一緒に目覚める人はいません。計算機に向かって頭の中の悩みをすべて打ち明けることもありません」。ツールの「性質」そのものが根本から異なるという指摘です。