米国半導体サプライチェーン、今つくれるものと残された課題
米国でウェハーとチップの生産、サーバーの組み立てが始まりました。実際に稼働する工場とこれから建設する施設を区別し、サプライチェーンの変化を見ていきます。
AI・テックAppleが公開した米国内半導体サプライチェーンの現場
ウォール・ストリート・ジャーナルのロルフ・ウィンクラー記者が、Appleと協力企業の米国生産施設を取材しました。テキサス州シャーマンのウェハー工場、アリゾナ州のTSMC半導体工場、ヒューストンのFoxconn組立施設を扱ったルポです。WSJ記事
私はこのルポを読みながら、投資額よりも実際にどの工程まで米国で行えるのかが気になりました。TSMCが発表した1,650億ドルは、今後執行する計画まで含めた金額です。工場を建設し始めたことと、必要なチップを安定的に供給できるようになったことは分けて見るべきですから。
チップをつくる前に必要なシリコンウェハー
シリコンウェハーをつくるには、まず不純物を極めて低いレベルまで減らしたシリコンを溶かし、一つの大きな結晶を成長させます。こうしてできた円筒形のインゴット1を薄く切り出したものがウェハー2です。表面を均一に研磨し、洗浄・検査したのちにチップ製造工場へ送られます。SUMCOの製造工程説明
ルポに登場するテキサス州シャーマンの工場は、台湾GlobalWafersの米国子会社である**GlobalWafers America(GWA)**が運営しています。2022年に着工し、2025年5月に開所しました。同社は開所当時、既存の35億ドルに追加40億ドルを加え、米国投資計画を75億ドルに拡大すると発表しました。追加分まですべて執行したという意味ではありません。GlobalWafers発表
米国政府がCHIPSプログラム3で確定した最大4億600万ドルの支援は、シャーマン工場だけでなく、ミズーリ州セントピーターズのMEMC施設なども含みます。米国NISTの案内
GlobalWafersはこの工場を、米国内で20年余りぶりに新設された同種の先端シリコンウェハー生産施設と説明しています。NISTによると、世界のシリコンウェハー供給の約90%は東アジアに集中しています。米国でチップ生産を増やすには、こうした基礎素材の供給も併せて確保する必要があるということです。
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