第145号

AIをあまり使わないテック系社員の解雇比率、それは何を意味するのか

AIの利用頻度と解雇の相関関係において、因果関係と決めつける前に確認すべき条件を整理します。

社会AIをあまり使わないテック系社員の解雇比率、それは何を意味するのか

ギャラップが調査したAI利用頻度と解雇経験

先日、ギャラップ社が米国の在職者と解雇された従業員を対象にした調査結果を発表しました。見出しは刺激的でした。「AIを使わないテック系社員、解雇リスク3倍」。ブルームバーグからボストン・グローブまで、メディア各社が一斉にこの数字を報じました。

私はこの数字から原因をどこまで説明できるのか疑問に思いました。AIの利用頻度と解雇の間に相関関係があったとしても、AIをあまり使わなかったから解雇されたと断定することはできません。 職務や業界、組織が提供したツールやサポートについても併せて確認する必要があります。

解雇者の62%がAI非利用者

ギャラップは2026年第1四半期の雇用状況を調査し、現在在職中の人と解雇により失業状態にある人の業務上のAI利用頻度を比較しました。解雇された回答者の80%はこの1年以内、91%はこの2年以内に解雇されたと回答しています。

結果はかなり明瞭でした。解雇された従業員の62%が、AIを年に1回以下しか使わない非利用者でした。在職中の従業員では、この割合は50%でした。反対にAIを頻繁に使う人、すなわち週に数回以上利用する人の割合は、在職者が28%、解雇された人が22%でした。ギャラップは年齢、学歴、業界、解雇の時期をすべて補正した後でも、この差は維持されると明らかにしました。

とりわけテック業界での格差は極端でした。調査において、AIを月に1回以上使っていたテック系社員のうち解雇状態にある割合は6%にとどまったのに対し、それ未満の頻度だった社員では18%に達しました。これはあくまで本標本において3倍の差が生じたということであり、将来的に個人が解雇される確率を予測した数値ではありません。非テック業界でも同じ傾向の差が見られましたが(3%対5%)、テック業界ほど劇的ではありませんでした。

これは米国全体の人員削減の傾向と併せて見る必要があります。米国全体で雇用主が人員を削減していると答えた従業員の割合は、2022年第2四半期の8%から2026年第1四半期には21%へと、3倍近くに跳ね上がりました。まだ採用中であると答えた割合(34%)のほうが高いものの、2025年第3四半期から同水準を維持している状況です。

その中でも、テック業界自体が解雇のリスクに過剰にさらされているという点が目を引きます。解雇された人のうちテック業界従事者の割合は13%に上る一方、全在職者にテック業界が占める割合はわずか6%にすぎませんでした。これは解雇された集団においてテック業界従事者がより多く現れたことを意味しており、これら2つの構成比だけで業界別の解雇確率を正確に算出できるわけではありません。完全リモートワーカーも同様の傾向を示しました。解雇された人の25%が完全リモートでしたが、在職者全体における完全リモートの割合は13%にとどまっていました。

もっとも、この数字だけでAIの不使用が解雇の原因であると結論づけることはできません。同調査では別の項目も確認しています。解雇された人自身が挙げた解雇理由です。