スマートフォンのセンサーで届ける地震早期警報
Android端末は発生した地震を検知し、強い揺れが到達する前に警報を届けます。その仕組みと運用上の限界を読み解きました。
AI・テック強い揺れよりも先に届いた通知
6月24日、ベネズエラ北部で大地震が相次いで発生しました。米地質調査所がまとめた二つの地震の規模は7.2と7.5です。
地震の直後、オンライン上にはAndroidスマートフォンで警報を受け取ったという体験談も投稿されました。一部の利用者は、強い揺れを感じる3〜5秒前に通知が届いたと語っています。個々の利用者の体験談であるため、すべての人がそれだけの時間を確保できたとは言えません。また、これは地震が起きる前に予知した結果でもありません。すでに発生した地震を検知し、強い揺れが他の地域に到達する前に知らせる早期警報です。
ベネズエラにもFUNVISISが運用する地震観測網はあります。地震を観測することと、住民のスマートフォンに早期警報を届けることは区別して考える必要があります。Googleは専用の地震計の代わりに、Androidスマートフォンのセンサーで地震を検知して警報を送信する仕組みを構築しました。
🔔 画面回転センサーが捉えたP波
地震が発生すると、さまざまな種類の波が伝播します。そのうちP波1はS波2よりも先に到達します。二つの波の速度差を利用すれば、より強い揺れが来る前に警報を発信できます。被害をもたらす揺れには、S波だけでなく地表に沿って進む表面波も関与しています。

従来の地震早期警報システム3は、専用の地震計で初期の波を検知します。米西部のShakeAlertが代表的です。観測所を密に設置し、通信網と分析システムを継続的に運用しなければならないため、広い地域に導入するには相当な予算と時間がかかります。
Googleは、スマートフォンにすでに搭載されている加速度計4を活用しました。 画面の回転や歩数の計測に使われるセンサーですが、地面の揺れも検知できます。端末1台の精度は専用の地震計より低いものの、同じ地域の複数の端末から届く信号をまとめて分析すれば、地震かどうかを判断するために活用できます。
静止しているAndroidスマートフォンが地震と疑われる振動を検知すると、大まかな位置情報とセンサー信号をGoogleのサーバーへ送信します。サーバーは周辺の他の端末からも同様の信号が届いているかを確認します。端末1台が落下したり、工事現場の振動を検知したりしただけで地震警報を発信しないよう、複数の機器の観測データを比較する仕組みです。

サーバーは地震の位置と規模を推定した上で、揺れが予想される地域に警報を送信します。警報は2段階あります。比較的弱い揺れには「Be Aware(注意)」通知を、強い揺れには画面全体に表示されて大きな音が鳴る「Take Action(行動)」通知を送ります。行動通知はおやすみモード(サイレントモード)の設定中でも鳴動します。
警報が揺れよりも先に届くのは、通信信号が地震波よりも速く移動するためです。ただし、検知・分析・送信にも時間がかかります。震源に近い地域では、揺れた後に通知を受け取ったり、警報を受け取れなかったりすることもあります。早期警報が確保してくれる時間は、地域や地震によって異なります。 数秒でも確保できれば、身を低くして頭部や首を守り、近くの頑丈な机の下に潜り込んで身構えるなどの行動に充てることができます。