第121号

NatureのTikTok進出、ショート動画で科学を説明する方法

NatureがTikTokでも科学を伝え始めました。短く解説しながら出典や研究の限界をどう残すか、関連研究と私自身のコンサルティング経験を交えて考えます。

AI・テックNatureのTikTok進出、ショート動画で科学を説明する方法

NatureがTikTokアカウントを開設した

NatureがTikTokアカウントを開設しました。1869年に創刊された同誌は、査読1を経た研究論文だけでなく、科学ニュースや解説、社説も発信してきました。2026年6月2日付の社説では、人々が情報に接する方法の変化を科学者や出版社が活用すべきだと述べ、TikTokへの進出を紹介しました。

私はこのニュースから、科学を短く説明する方法に関心を持ちました。研究結果はどのような対象や条件のもとで得られたのかを知ってこそ正しく理解できるからです。ショート動画で関心を引きつつ、こうした情報をどこまで正確に伝えられるでしょうか。

ソーシャルメディアと動画でニュースに接する読者

ロイター・ジャーナリズム研究所の『Digital News Report 2025』によると、18〜24歳の回答者の44%がソーシャルメディアや動画ネットワークを主なニュース源として挙げました。人々がニュースサイトを直接訪れるのではなく、普段利用しているプラットフォームで情報に接する流れを示しています。

調査対象市場全体でソーシャルメディアのニュース動画を視聴する割合は、2020年の52%から2025年には65%へと増加しました。あらゆる経路のオンラインニュース動画を合算した割合も67%から75%へと上昇しています。米国における週間ニュース利用では、ソーシャル・動画プラットフォームが54%と、テレビ(50%)やニュースのウェブサイト・アプリ(48%)を上回りました。一人が複数の経路を利用できる調査であるため、相互排他的なシェアではありません。

若い読者が従来のニュースメディアをどう見ているかも重要です。同研究所の2026年レポートでは、一部の若い読者がニュースを「自分の生活とかけ離れている」「理解しにくい」と感じているという質的調査の結果を紹介しています。だからといって、この世代全体が既存メディアを拒絶している、あるいはすべての個人クリエイターをより信頼しているという意味ではありません。

2025年のレポートは、48の市場の約10万人を対象としたオンライン調査です。回答者の40%が時々または頻繁にニュースを避けると答えました。避ける理由は不快な感情や情報の過負荷など様々です。若い読者に対しては、背景知識や用語を十分に説明することも課題だと考えられます。

こうした結果を見れば、Natureが読者の集まるプラットフォームへと裾野を広げた背景が理解できます。ただし、ニュースの利用動向調査だけでは、科学動画をどのように制作すれば成功するかまではわかりません。伝えるべき内容に適したフォーマットを別途検討する必要があります。