第64号

Delve論争:セキュリティ点検を任せる際に確認すべきこと

監査資料とオープンソース利用をめぐるDelveの疑惑、会社の反論、YCとの決別について見てみました。

ビジネスDelve論争:セキュリティ点検を任せる際に確認すべきこと

規制遵守を支援していた企業に提起された疑惑

Delveは、企業がSOC 2監査1を準備し、HIPAA2やGDPR3といった規制を遵守するのに必要な業務を自動化する企業です。証拠資料の収集や文書作成にかかる時間をAIで削減すると謳っていました。2025年には企業価値3億ドルで3,200万ドルのシリーズA投資を受けました。

ところが2026年3月から、監査資料を杜撰に作成し、顧客企業のオープンソースコードを出典表示なしに使用したという疑惑が相次いで浮上しました。**4月4日には共同創業者のセリン・コカラーがYCとの決別を発表しました。**同社は、告発内容が歪曲されていると反論しました。監査資料が実際の点検を反映しているか、オープンソースをどのような条件で使用したのかが主な争点です。

創業から2026年4月のYCとの決別まで

会社の成長過程と疑惑が提起された経緯を時系列で見ると、以下の通りです。告発者が公開した資料に関する主張は、その出典を別途記載しました。

**2023年:**MITで出会ったカルン・カウシクとセリン・コカラーが創業しました。創業者たちは、医療分野のサービスを作る過程でHIPAA対応に多くの時間と資金を費やした経験が、コンプライアンス事業へ転換するきっかけになったと説明しています。

**2024年初め:**YC Winter 2024プログラムに参加しました。当時の公開紹介では、インフラ設定、ポリシー文書、モニタリングを通じてHIPAA対応を支援すると説明していました。

**2025年1月:**General Catalystなどが参加した330万ドルのシード投資調達が明らかになりました。

**2025年4月:**DeepDelverが公開した資料によると、Sim.aiがDelveの顧客となり、SOC 2とHIPAA対応サービスに1万5,000ドルを支払うことになりました。同じ頃、DelveがSim.aiの公開プロジェクトSimStudioを自社のPathwaysに適用し始めたというのが告発者の主張です。告発者は移植する構成要素を記載した社内計画文書も提示しました。

**2025年7月:**DelveはInsight Partners主導で3,200万ドルの投資を受けたと発表しました。この時提示された企業価値が3億ドルです。

投資調達とYC参加の経歴は、Delveが営業で打ち出せる信頼要素でした。ただし、こうした経歴だけでサービスの点検品質まで確認できるわけではありません。

**2025年末:**DeepDelverは、顧客報告書に連なるスプレッドシートの流出を知らせるメールを受け取った後、他の顧客とともに調査に乗り出したと明らかにしました。同じ時期、創業者たちはForbesの「30 Under 30」AI部門の2026年リストに名を連ねました。

2026年3月19日:匿名アカウントDeepDelverの最初の投稿が公開されました。告発者は、数百件のSOC 2報告書の草案に同じ文言と監査結論が繰り返されていると主張しました。例に挙げた特定の一文が494件中493件、約99.8%の報告書に存在したというものです。これは報告書全体の内容の類似度が99.8%だという分析とは異なります。

**2026年3月20日:**Delveは公式ブログで疑惑を否定しました。最終報告書と意見は独立した監査人が発行しており、顧客は監査人を選択できると説明しました。文書の雛形は顧客が実際の状況に合わせて検討し完成させるべき草案であり、標準に従う報告書の間で共通の文言が生じるのは自然なことだという立場でした。

**2026年3月23日:**Insight Partnersの投資紹介記事が一時的に削除されたと報じられました。当該ブログ記事はその後復元されました。記事が消えたという事実だけでは、投資撤回や疑惑に対する投資会社の最終判断を知ることはできません。

**2026年3月31日:**DeepDelverはSimStudioとPathwaysの関係を扱った続報を公開しました。Sim.ai側は、出典表示なしに自社製品名として提供することを許可する別途の契約は締結していないと答えました。告発者は、Pathwaysが企業顧客を相手に販売されていたと主張しました。

**2026年4月1日:**TechCrunchがSim.ai代表のエミル・カラベグに確認を取り、この論争を報じました。4月3日、Delveは公式反論文でApache 2.0プロジェクトを土台にコンプライアンス用途に合わせて大幅に修正したと明らかにしました。同時に、監査人ネットワークの再整備、稼働中の顧客を対象とした無料の再監査とペネトレーションテスト、監査業務に連動した自動化の停止などを発表しました。

**2026年4月4日:**コカラーがYCとの決別を発表し、YCの公開企業リストからもDelveが外れたと報じられました。この変化は、個別の疑惑の真偽や法的責任を確定するものではありません。