GPU事業、販売方式によって収益と回収期間が変わります
GPUサーバーを買って貸し出すことも、借りて再び貸し出すことも、モデルAPIでトークン料金を受け取ることもできます。三つの方式は先に使うお金と収入を得る構造が異なります。
ビジネス同じGPUでも異なる事業をしています
GPUを必要とする顧客に演算資源を提供する方法にはいくつかの種類があります。事業者がサーバーを直接購入して貸し出すこともできますし、他社のサーバーを借りて顧客に再び貸し出すこともできます。サーバー上でAIモデルを実行したうえで、顧客がAPIで利用した量に応じて料金を受け取ることもできます。
**何を確保して何を売るかによって、初期投資額、残る利益、投資額を回収するのにかかる時間が変わってきます。**そのため「GPU事業は収益性が良い」という言葉だけでは、どの事業を指しているのか分かりにくいものです。三つの方式のお金の計算を順番に見ていきましょう。
1. サーバーを直接購入して貸し出す
事業者がGPUサーバーを購入し、データセンターで運用しながら顧客に貸し出す方式です。顧客はサーバーやGPUを使用できる資源を確保し、時間単位または月単位で料金を支払います。
事業者はまず機器代を支出します。その後に入ってくる賃貸料から電気・冷却・保守などの運営費を支払い、残った現金で最初に投資したお金を回収します。機器の購入費が大きいだけに、十分な期間にわたって顧客に利用してもらう必要があります。
この方式では、サーバーをいくらで購入したかと、どれだけ安定して貸し出せるかが重要です。顧客がつかず空いていても、すでに支払った機器代は戻ってきません。新しいGPUが登場して既存サーバーの賃貸料が下がれば、当初想定していたよりも投資回収が遅れることもあります。
長期賃貸の顧客を事前に確保しておけば、収入の見通しが立てやすくなります。その代わり、その契約で約束した性能とサービス期間を守れるよう、機器と運営体制を整えておく必要があります。
2. サーバーを借りて再び貸し出す
他社が保有するGPUサーバーを借りたうえで、顧客に再提供する方式です。顧客獲得や利用環境の構築、技術サポートなどを担い、顧客から受け取る料金と供給者に支払う料金の差額から収入を得ます。
例えば月20万人民元でサーバーを借り、顧客から25万人民元を受け取れば、賃料の差額は月5万人民元です。売上の20%が残る計算になります。ここに営業や顧客対応などにかかる費用がさらに加われば、実際の利益はもっと減ります。
サーバーの購入に大きな資金を投じるわけではないので、設備購入費を何年もかけて回収しなければならない負担は小さくて済みます。その代わり契約条件が重要になります。供給者には1年分の利用を約束したにもかかわらず、顧客は1か月だけ利用して去ってしまえば、残りの期間の賃料は事業者が負担しなければなりません。保証金や、顧客から代金を受け取るまでに必要な運転資金も用意しておく必要があります。
この方式でまず見るべきは、仕入れ・販売料金の差額と両契約の期間です。初期の設備投資負担を減らす代わりに、顧客に売れていない期間のコストをどう賄うかを決めておく必要があります。
3. モデルをAPIとして提供し、トークン料金を受け取る
顧客がAIモデルにリクエストを送り、結果を受け取れるようAPIを提供する方式です。トークンとは、モデルが文章を処理する際に分割する単位です。この事業では、入力・出力トークン数に応じた料金を受け取ります。こうしたモデル提供事業はMaaS(Model as a Service)と呼ばれています。
サーバー賃貸の顧客は、自分が確保した資源の上でモデルやプログラムを直接動かします。API顧客は必要なリクエストを送り、答えを受け取るだけです。その裏側でどのサーバーを使うか、複数の顧客のリクエストをどう処理するかはAPI事業者が管理します。事業者は自社で購入したサーバーを使うこともあれば、外部から借りたサーバーを使うこともあります。
この場合、売上はGPUを何台保有しているかだけでは決まりません。有料リクエストがどれだけ入ってくるか、同じ設備でどれだけ多くのリクエストを処理できるか、トークン単価をいくらに設定するかが同時に重要になります。リクエストをまとめて効率的に処理すれば、同じサーバーからより多くの売上を生み出せます。逆に、顧客が少なかったり価格競争で単価が下がったりすれば、期待した利益は出にくくなります。
モデルの運用とサービス開発にもお金がかかります。自社モデルを開発するのであれば、学習・研究コストが追加されます。サーバーを自前で保有した場合は、設備投資額までAPI売上で回収しなければなりません。したがって、API事業の回収期間は、設備をどう調達したか、そしてモデル・サービスにどれだけ投資したかによって変わってきます。
中国の分析では収益率と回収期間がこれだけ違いました
華爾街見聞(Wall Street CN)が紹介したモルガン・スタンレーの分析は、この三つの方式を比較しています。直接購入する場合の前提は、GPU8枚を搭載したサーバー価格800万人民元、月額賃貸料25万人民元です。API方式は自社サーバーを利用し、処理量・有料推論の比率・トークン価格をそれぞれ仮定しています。
営業利益率は売上から費用を引いてどれだけ残るかを、ROICは事業に投じた資本に対して税引後営業利益がどれだけ出ているかを示します。現金回収期間は、最初に投資した資金を営業から入ってくる現金で取り戻すまでにかかる時間です。会計上、設備費を費用として按分計上する減価償却期間とは異なります。
| 事業方式 | 分析上の営業利益率 | 投下資本利益率(ROIC) | 現金回収期間 |
|---|---|---|---|
| サーバーを直接購入して賃貸 | 約44% | 約13% | 約3.1年 |
| サーバーを借りて再賃貸 | 約20% | 設備投資ベースでは算出不能 | 設備購入費の回収は該当なし |
| 自社サーバーでモデルAPIを提供 | 約53% | 約19% | 約2.5年 |
表の数値は、中国の事業者全体の実績や保証された収益率ではなく、記事で提示された条件を当てはめたシナリオです。特にサーバー単位の計算には、会社全体の研究開発費・人件費などがすべて含まれているわけではありません。API方式についても、想定した有料需要と処理効率を満たして初めて、表の結果に近づきます。
この比較で見るべき点は、APIが常に最も有利だという結論ではありません。設備を所有する負担、外部に支払う賃貸料、顧客に課金する単位が変われば、同じGPUを活用しても収益構造は変わるという点です。
国内企業もこの市場でそれぞれ異なる役割を担っています
国内でもVESSL AIとEliceはGPUクラウドを提供し、LablupはGPU資源を配分・運用するBackend.AIプラットフォームを提供しています。GPUを利用する顧客に演算資源と利用環境を供給するという点でつながっています。
NAVER Cloud、NHN Cloud、SKテレコム、KT CloudもGPUサーバー・GPUaaS事業を運営しています。Megazone CloudはクラウドとAIインフラの供給・構築を支援していますね。NAVER CloudのCLOVA StudioのようにモデルAPIを提供するサービスもあります。
1社が複数の方式を同時に運営することもあります。ですので、企業名だけで収益構造を判断するよりも、その商品の設備を誰が用意し、顧客は何に対して料金を払っているのかを見る必要があります。設備供給、レンタル、運用ソフトウェア、モデルAPIは、それぞれ売上と費用が発生するポイントが異なります。
設備と運営記録は融資を受けるのにも使われます
最初に必要な資金をどう調達するかも、この事業の重要な部分です。私は9月5日のZDNET Koreaコラムで、アメリカのGPU担保融資と、中国のトークン使用記録を活用した融資を取り上げました。
アメリカではCoreWeaveが、GPUを含む資産を担保に資金を調達しました。同社の開示資料を見ると、2023年の23億ドルの融資は、顧客契約を遂行するのに必要なGPUサーバーなどの購入のためのものでした。該当子会社の資産と持分が担保に入っています。設備と顧客契約をもとに、まず購入資金を調達する仕組みです。
中国には、実際の事業活動を示す使用記録を融資審査に活用する事例があります。国家データ局が紹介した電気料金融資は、中小企業の電力使用データを銀行のリスク評価に活用します。コラムで取り上げた広州・海珠区のトークン融資は、トークン使用量や契約、代金回収履歴といった運営情報を融資審査に組み込みます。
ここでの使用量は、GPU実物のように処分できる担保物というより、企業が実際に事業を営んでおり、返済能力があるかどうかを判断する資料です。設備を所有する企業だけでなく、演算資源を購入して使う企業も、自らの取引や使用記録によって資金調達の可能性を説明できるという点に意味があります。
融資が可能になれば、自己資金だけで設備費用の全額を用意する必要は減ります。ただし、顧客から受け取る代金で運営費を支払い、融資の元金と利息も返済しなければなりません。設備購入資金を回収する時点と、銀行に返済する約束の時点が合っているかどうかも、あわせて見ておく必要があります。
Oswarldの視点
私はGTM戦略を立てながら、顧客一人、店舗一店、サーバー一台がそれぞれいくら利益を残すかを計算した資料をたくさん作り、また受け取ってきました。個別の単位で見ると収益性は良さそうなのに、時間が経っても会社全体の営業利益率は期待したほど改善しないというケースがありました。その事業を運営する人とシステムにかかるコストが計算から抜け落ちていたからです。
その経験があるため、私は収益性の資料を見るとき、顧客に何を売り、その売上を作るためにどんなお金を先に使う必要があるのかという点から確認するようにしています。
直接賃貸する事業であれば機器代と顧客の利用期間を、再賃貸する事業であれば供給者と顧客双方との契約を、APIビジネスであれば有料リクエストと処理コストを併せて見る必要があります。その上で、顧客サポートやサービス運営に必要な人員、資金調達コストを加えてはじめて、会社が実際に残せる金額に近づきます。
規模を拡大する際にも、方式によって必要な準備は変わってきます。機器を追加で購入しなければならない場合もあれば、供給契約を増やさなければならない場合もあり、同じ機器でより多くのリクエストを処理できるようサービスを改善しなければならない場合もあります。この違いを理解してこそ、どの部分に投資し、どの顧客を獲得すべきかを判断できるのです。
おわりに
GPU事業の収益性を見るには、まず販売方式を区別する必要があります。直接購入して貸し出す場合は大きな設備投資金を回収しなければならず、借りて再び貸し出す場合は料金差と契約期間を管理する必要があります。モデルAPIとして販売する場合は、有料使用量とリクエストを処理するコストが重要になります。
この構造をまず理解して初めて、収益率と回収期間の数字が説明できるようになります。ここに、設備を買う資金や運転資金をどのような条件で借りるかまで加えると、同じAIインフラ事業でも企業ごとに異なる結果が出る理由が理解できます。
💬 GPUリソースを直接構築するか、借りて使うか検討したことはありますか? 設備費、契約期間、運用人員のうち、どの条件が選択に最も大きな影響を与えたか聞かせてください。
📨 GPU・AIクラウド事業や導入コストを検討している同僚がいれば、この記事を転送してください。
参考資料と関連リンク
- 華爾街見聞、モルガン・スタンレーによる中国AIコンピュートの収益性分析を紹介: 3つの事業方式について価格・収益率・回収期間のシナリオを比較した記事です。
- アン・グァンソプ「銀行融資、米中はGPUとトークンが決める…韓国は?」、ZDNET Korea: GPU資産とトークン利用履歴がそれぞれ資金調達にどう使われているかを扱った、私のコラムです。
- CoreWeaveのSEC開示資料: 2023年の融資の使途と担保範囲を確認できます。
- 中国国家データ局の電気料金融資事例、広州市海珠区のトークン融資発表: 電力使用データとトークン・契約情報を活用した審査について、それぞれ説明しています。
- 韓国企業の役割については、本文でリンクした各社の公式製品紹介や発表内容に基づいて記述しました。
