第42号

AIモデル70種類以上が、オープンエンドな質問に似た答えを出しました

異なるAIに聞いても似たようなアイデアが出てくることがあります。Artificial Hivemind研究の実験条件と、文章執筆への示唆を見ていきます。

AI・テックAIモデル70種類以上が、オープンエンドな質問に似た答えを出しました

別のAIに聞いても似た答えが返ってくるとしたら

「時間についての比喩を書いて」

ある研究では、25個の言語モデルにこのような依頼を送り、それぞれ50個の答えを受け取りました。1,250個の答えには、時間を川の流れにたとえた表現が数多く登場し、時間を織り手にたとえた表現もまとまって見られました。研究チームが答えの意味を比較して描いた図には、この2つの集団がはっきりと現れていました。

ワシントン大学など複数機関の共同研究チームは、70個を超える言語モデルを調査し、同一モデル内での繰り返しと、異なるモデル同士の類似性を報告しました。この現象をArtificial Hivemindと呼びました。AIモデルが互いに異なる製品であっても、答えの内容は似通ってしまう可能性があるという意味です。論文はNeurIPS 2025で最優秀論文賞を受賞しました。

私はこの結果を見て、アイデアを得ようと複数のAIに質問するやり方を思い浮かべました。ツールを変えるだけで、十分に異なる視点を得られるのでしょうか。研究が確認したことと、まだ残された問いを見ていきます。

何をどう比較したのか

実験設計:正解のない質問群

研究チームは、正解が一つに決まっていない質問に注目しました。

たとえば「2+2はいくつか」という問いには、同じ答えを出すほうが望ましいでしょう。しかし文章の題材を提案したり、新しい比喩を作ったりする依頼には、複数の適切な答えがありえます。こうした質問でも答えが繰り返されるのかを調べたわけです。

実際のチャットボットの会話を集めたWildChatから、オープンエンドな質問26,070件を選び、Infinity-Chatというデータセットを作りました。創作、アイデア提案などを含む6つの大分類と17の小分類に分けています。モデル別の答えの類似性を比較する主要な実験には、ここから絞り込んだ質問100件を使いました。

同じモデルに何度も尋ねたとき

各モデルに同じ質問を50回提示し、答えの意味がどれほど似ているかを測定しました。トークンを選ぶ方式や、ランダム性を調整する設定1も変えて試しました。

top-p 0.9、温度1.0の条件では、事例の79%で答えの束の平均類似度が0.8を超えました。min-pを適用し、温度を上げた実験でも高い類似性が残りました。再生成したり設定を変えたりするだけでは、内容が十分に多様にはならなかったという結果です。

異なるモデルの答えを比較したとき

異なるモデル同士を比較しても、類似性は高いままでした。

論文が示した主要モデル間の平均意味類似度は、おおむね0.71〜0.82でした。DeepSeek-V3とGPT-4o-2024-11-20の比較では0.81という数値が出ています。これは文章を数値ベクトルに変換して比較したスコアです。文字の81%が同じという意味ではありません。

文章が完全に一致した事例もありました。成功・富・自己啓発をテーマにしたSNSスローガンを依頼したところ、qwen-maxとqwen-plusの2025年1月25日版が同じ文章を生成しました。「Empower Your Journey: Unlock Success, Build Wealth, Transform Yourself.」という答えでした。

先に見た時間の比喩は、文章が少しずつ違っても似た発想に収斂しうることを示しています。この事例では、答えを数多く生成しても、アイデアが広がるよりも特定の題材に集中していました。