第31号

Claudeの軍事利用、企業の原則は契約でどう守られるのか?

Anthropicと米国政府の対立を、当時の声明や契約発表から読み解き、軍事利用と人間による統制を区別します。

社会Claudeの軍事利用、企業の原則は契約でどう守られるのか?

イラン空爆関連のニュースを見ていて私の目に留まったのは、Claudeの軍事利用でした。自分が実際に使ってみたAIが、軍の情報分析や作戦支援にも使われているという事実は、使用範囲を誰が決めるのかを改めて考えさせてくれました。

CBSは2026年3月3日、複数の情報筋を引用し、米軍がイラン攻撃にClaudeを使用したと報じました。具体的な使用方法については、国防総省が公開していません。CBS報道

この報道を、AIが自ら標的を選んで攻撃したという意味にそのまま読み取ることはできません。軍事作戦にAIを使用することと、人間の介入なしに攻撃を決定させることは区別しなければなりません。 Anthropicと米国政府の対立においても、この区別が重要です。

映像分析から軍務全般へと広がったAI

米国防総省が2017年に開始したProject Mavenは、大量の映像から関心対象を見つけ出すコンピュータービジョンの活用に重点を置いていました。人がすべての映像を一つひとつ確認しなければならない負担を減らそうとする事業でした。

Googleもこの事業に参加していましたが、2018年に従業員の反対と論争が起きた後、後続契約は推進しないことにしました。当時のGoogleの公式説明は、既存の契約上の義務は履行しつつ、追加契約は結ばないというものでした。兵器化されたシステムをAIで支援しないという原則とともに、サイバーセキュリティや生産性ツールなど他の軍関連協力は継続すると明らかにしました。Googleの2018年の説明

その後も軍によるAI活用は続きました。米国防総省は2024年5月、Palantirに対しMaven Smart Systemの試作契約を付与しました。同年11月には、AnthropicとPalantirがAWSを通じて米国の情報・国防機関にClaudeを提供する協力を発表しました。ClaudeがPalantirのAIPに統合され、複雑なデータ処理や意思決定支援に使われるようにしたのです。2024年5月の契約公示11月の共同発表

2025年7月には、Anthropic・Google・OpenAI・xAIの4社がそれぞれ最大2億ドルを上限とする契約を受けました。契約上限額は、実際に支払われた売上とは異なります。この発表から確認できるのは、複数のAI企業がすでに国防分野の開発と適用に参加していたという点です。米国防総省CDAOの発表

Anthropicが除外しようとした2つの用途

Anthropicは軍事利用全体に反対してきた会社ではありません。2026年2月26日の声明でも、情報分析、モデリングとシミュレーション、作戦計画、サイバー作戦支援を自社の協力分野として挙げていました。

同社が制限しようとしたのは、米国内での大規模監視と完全自律型兵器でした。声明では、この2つの用途は既存の国防総省との契約にも含まれていなかったと説明しています。公開された資料を基準にする限り、軍のシステムに組み込まれた後に突然新たな条件を付け加えたと断定するのは難しいでしょう。Anthropicの2月26日の声明

2つの制限の理由も、分けて見る必要があります。米国内の大規模監視については、民主的価値観とプライバシー侵害を問題視しました。完全自律型兵器については、現時点でAIの信頼性と監督の仕組みが十分ではないと説明しています。同社は、部分自律型兵器と合法的な海外情報活動については支持すると表明してもいます。

したがって、この立場をあらゆる戦争や兵器使用への反対と読み取ることはできません。かといって、海外でのあらゆる監視を無条件に許容するという意味でもありません。同社が公開した許容範囲と制限の理由を、具体的に読み解く必要があります。

米国防総省は、あらゆる合法的用途に使用できるべきだという立場を打ち出していました。争点は、軍事作戦の個別の決定を誰が下すのかだけでなく、法律や軍の方針に加えて、供給元企業が契約によって使用範囲を制限できるのかという点でした。