第29号

AIエージェントを長く使う人は、どう仕事を任せ、どう介入してきたのか

Claude Codeの使用記録では、自動承認と作業中断がともに増えていました。何を測定した研究なのか、どこまで解釈できるのかを見ていきます。

AI・テックAIエージェントを長く使う人は、どう仕事を任せ、どう介入してきたのか

Anthropicが2026年2月18日に発表した研究を読みました。Claude Codeと公開APIを通じて行われた数百万件の人間・エージェント間のやり取りを分析した資料です。私はモデルの試験スコアよりも、人々が実際に仕事を任せ、介入するやり方に着目していた点が興味深く感じました。

この研究でいう「エージェント」とは、コードを実行したり外部APIを呼び出したりするなど、ツールを通じて行動できるAIシステムを指します。研究チームは、エージェントがどれくらい長く単独で作業するのか、ユーザーがいつ承認したり中断したりするのか、どの分野でツールが使われているのかを調べました。

私が特に注目した結果は、経験の多いユーザーほど自動承認をより頻繁に使う一方で、作業途中に介入する割合も高かったという点です。AIにより多くを任せることが、必ずしも監督を減らすことを意味するわけではなかったのです。

ほとんどの作業区間は短く、極めて長い区間はさらに長くなった

Claude Code分析の単位は、一度作業を開始してから完了・質問・ユーザーによる中断のいずれかに至るまでの「ターン」です。プロジェクト全体を終えるのにかかった時間とは異なります。

ターンの継続時間の中央値は約45秒でした。観測期間中は40〜55秒の間で比較的安定して推移していました。全体の使用が長時間の自律作業に置き換わったわけではありません。

変化が見られたのは非常に長いターンでした。2025年10月から2026年1月にかけて、長さ順で上位0.1%に入る境界値である99.9パーセンタイル値は、25分未満から45分以上へと伸びました。研究チームは、1月中旬以降はこの値がやや減少したとも説明しています。

新しいモデルが出るたびに急激に跳ね上がるというより、段階的に増えていった点も観察されています。考えられる説明としては、ユーザーの信頼の蓄積、より大きな作業を任せるようになった変化、製品自体の改善などが挙げられます。研究チーム自身も、これらの要因を切り分けて測定することはできなかったと明らかにしています。

したがって、増加の原因をユーザーの信頼だけに求めたり、モデルの性能はもはや重要ではないと言い切ったりすることはできません。より高速なモデルであれば同じ作業をより短時間で終えることもあり得るため、作業時間が長いという理由だけで能力が高いと評価するのも難しいところです。

自動承認を増やしたユーザーも途中で介入していた

50セッション未満の新規ユーザーは、約20%のセッションで全自動承認設定を使用していました。使用経験が750セッション程度の集団では、この割合が40%を超えていました。この数値は個々の行動のうち承認された割合ではなく、当該設定を使用したセッションの割合です。

一方、作業の中断は新規ユーザーではターンの約5%、経験の多いユーザーでは約9%で観察されました。研究チームはこれを、行動ごとに事前承認する方式から、進行を見守りながら必要なときに介入する方式へと変化している兆候だと解釈しています。

ここで確認できたのは、使用経験と監督方式の関係です。中断が増えたという事実だけで、すべての介入が適切だったとか、その方式があらゆる作業でより安全だと証明されたわけではありません。ユーザーが任せる作業や設定自体も同時に変化しうるからです。

私には、承認回数を数えることと、ユーザーが実際に状況を把握していることは区別すべきだという点が重要に思えました。承認ボタンを何度押しても内容をよく理解していない場合もあれば、自動で進めさせていても必要な瞬間に方向を変えることはできるのです。